第1章|ITコンサル出身者の転職先が分岐しやすい理由
ITコンサルとして経験を積むと、システム導入、業務改革、プロジェクト推進、要件定義など、幅広い領域に関わることになります。この経験は汎用性が高く、多くの企業から評価されやすい一方で、転職先の選択肢が広がりすぎることで意思決定が難しくなる側面もあります。まずは、なぜITコンサル出身者の転職先が分岐しやすいのか、その構造から整理します。
1-1. ITコンサルの経験が評価される背景
ITコンサルは、ビジネスとITの橋渡し役として、要件整理から導入・定着までを担う役割です。このため、単なる技術スキルだけでなく、業務理解、調整力、プロジェクト推進力など、複合的なスキルが身につきます。
評価されやすい理由
- 業務課題を構造化し、要件に落とし込める
- ステークホルダー間の調整ができる
- プロジェクトを前に進める推進力がある
- ITと業務の両方を理解している
図表:ITコンサルで培われる主なスキル
| スキル領域 | 内容 |
| 業務理解 | 業務プロセスの把握・整理 |
| 要件定義 | 課題の具体化・仕様化 |
| 調整力 | 利害関係者との合意形成 |
| 推進力 | 期限内に前進させる力 |
1-2. 転職先の選択肢が広いがゆえの迷い
評価されるスキルが幅広いほど、転職先の選択肢も増えます。PM、PdM、情シス、プリセールスなど、役割の異なる職種から声がかかることも珍しくありません。
迷いが生まれやすい理由
- それぞれの役割に一定の適性があり、決めきれない
- 「どれもできそう」という感覚が判断を曇らせる
- 周囲の事例に影響されやすい
図表:転職先の選択肢と求められる方向性
| 転職先 | 主な役割 | 求められる志向 |
| PM | プロジェクト推進 | 進行管理・調整 |
| PdM | プロダクト企画 | 価値設計・意思決定 |
| 情シス | 社内IT企画・運用 | 安定運用・改善 |
| プリセールス | 技術提案 | 顧客折衝・提案力 |
1-3. 「何でもできる」が意思決定を難しくする
ITコンサル経験者は、「ある程度どの職種でも対応できそう」と感じやすい傾向があります。この感覚自体は強みですが、キャリアの方向性を曖昧にしたまま転職すると、入社後に違和感を覚えるケースもあります。
陥りやすい状態
- 役割の違いを十分に理解しないまま選ぶ
- 今の延長線で考え、長期視点を持てていない
- 「できそう」だけで決めてしまう
図表:短期視点と中長期視点の違い
| 視点 | 短期的 | 中長期的 |
| 判断軸 | できそうか | 伸ばしたい軸か |
| 満足度 | 一時的 | 継続的 |
| 成長 | 停滞しやすい | 積み上がる |
1-4. 向き・不向きで考える重要性
転職先を選ぶ際は、「できるか」よりも「向いているか」という観点が重要です。向いていない役割でもこなすことはできますが、長期的な満足度や成長実感は下がりやすくなります。
向き・不向きを考える視点
- 日常業務でエネルギーを消耗しにくいか
- ストレスを感じにくい業務の性質か
- 自分の強みを自然に活かせるか
図表:向いている状態の特徴
| 観点 | 向いている状態 | 向いていない状態 |
| 仕事後の感覚 | 充実感がある | 消耗感が強い |
| 学習 | 楽しく深められる | 義務感が強い |
| 成果 | 自然に出やすい | 努力に対し成果が出にくい |
第2章|PM・PdM・情シス・プリセールスの役割の違い
転職先として検討されやすいPM、PdM、情シス、プリセールスは、いずれもITコンサルの経験が活きやすい職種です。ただし、日常業務の中身や求められるスタンスは大きく異なります。ここでは、それぞれの役割を整理し、違いを明確にします。
2-1. PMの役割と求められる資質
PMは、プロジェクト全体の進行管理と成果創出に責任を持つ役割です。スケジュール、品質、コスト、関係者調整など、多面的な管理が求められます。
主な役割
- 進捗管理・課題管理
- ステークホルダー調整
- リスク管理
- チームの生産性向上
求められる資質
- 物事を前に進める推進力
- 利害関係者の調整力
- 想定外への対応力
図表:PMの業務イメージ
| 領域 | 内容 |
| 管理 | 進捗・品質・コスト |
| 調整 | 社内外の関係者 |
| 判断 | 優先順位の決定 |
| 対応 | トラブルシュート |
2-2. PdMの役割と求められる資質
PdMは、プロダクトの価値最大化に責任を持つ役割です。ユーザー価値とビジネス価値の両立を考えながら、開発の方向性を決めていきます。
主な役割
- プロダクト戦略の策定
- 要求・要件の優先順位付け
- 開発チームとの連携
- ユーザー価値の最大化
求められる資質
- 仮説思考・意思決定力
- ユーザー視点
- ビジネスへの関心
図表:PdMの視点整理
| 観点 | 重視するポイント |
| ユーザー | 課題と価値 |
| ビジネス | 収益・戦略 |
| 開発 | 実現可能性 |
| 優先度 | 何を作るか |
2-3. 情シスの役割と求められる資質
情シスは、社内ITの企画・運用・改善を担う役割です。安定稼働と業務効率化の両立が求められます。
主な役割
- 社内システムの企画・運用
- ベンダーコントロール
- ITガバナンスの整備
- 利用部門のサポート
求められる資質
- 安定運用への意識
- 改善志向
- 社内調整力
図表:情シスの業務イメージ
| 領域 | 内容 |
| 企画 | IT戦略・ロードマップ |
| 運用 | 安定稼働・改善 |
| 管理 | ベンダー・コスト |
| 支援 | 利用部門対応 |
2-4. プリセールスの役割と求められる資質
プリセールスは、営業活動における技術的な支援役です。顧客の課題を技術的に解決できる形で提案します。
主な役割
- 技術的な提案・説明
- 顧客要件の整理
- ソリューションの設計支援
- 営業との連携
求められる資質
- 技術理解力
- 説明力・提案力
- 顧客折衝力
図表:プリセールスの役割整理
| 観点 | 内容 |
| 技術 | ソリューション理解 |
| 提案 | 課題への適合 |
| 連携 | 営業との協働 |
| 調整 | 要件のすり合わせ |
第3章|PMへの転職:向いている人・向いていない人
PMは、ITコンサルの経験が比較的スムーズに活きやすい転職先です。一方で、役割の性質上、合う・合わないが分かれやすい職種でもあります。
3-1. PMで活きるITコンサルの強み
ITコンサルで培われたスキルは、PM業務と親和性が高いものが多くあります。
活きる強み
- 要件整理・論点整理の力
- ステークホルダー調整力
- スケジュール・課題管理
- 不確実な状況での推進力
図表:ITコンサルの強み × PM業務
| ITコンサルの強み | PMでの活かしどころ |
| 課題構造化 | 要件定義・優先度決定 |
| 調整力 | 関係者合意形成 |
| 推進力 | 進行管理・意思決定 |
| 仮説思考 | 先回りのリスク対応 |
3-2. PMに向いているタイプの特徴
向いている人
- 全体を俯瞰しながら物事を前に進めるのが好き
- 調整や交渉をストレスに感じにくい
- 期限や成果にコミットすることにやりがいを感じる
- 多少のトラブルが起きても冷静に対処できる
図表:PMに向いている人の特徴
| 観点 | 向いている状態 |
| 思考 | 全体最適で考えられる |
| 行動 | 先回りして動ける |
| 感情 | 調整を苦にしない |
| 価値観 | 成果創出に喜び |
3-3. PMでつまずきやすいポイント
つまずきやすい例
- 実装や技術詳細に関わりたくなりすぎる
- 調整業務が多く、やりがいを感じにくい
- 組織の承認フローにフラストレーションを感じる
図表:PMでのギャップ
| 期待 | 実態 |
| 戦略的に関われる | 調整・管理業務が多い |
| 裁量が大きい | 組織ルールに縛られる |
| 成果が見える | 成果が間接的な場合も |
3-4. PMとして成長できる環境の選び方
環境選びのポイント
- PMの裁量範囲が明確か
- 意思決定のスピードが適切か
- 振り返りやフィードバックの文化があるか
第4章|PdM・情シス・プリセールスへの転職:向き・不向きの整理
PM以外にも、PdM、情シス、プリセールスといった選択肢があります。それぞれ求められるスタンスが異なるため、自身の志向と照らし合わせることが重要です。
4-1. PdMに向いている人・向いていない人
向いている人
- ユーザー視点で価値を考えるのが好き
- 仮説検証や意思決定を楽しめる
- 事業視点でプロダクトを育てたい
向いていない可能性がある人
- 正解のない議論にストレスを感じる
- 技術詳細や実装管理を重視したい
- 定量成果がすぐに出ないと不安になる
図表:PdM適性チェック
| 観点 | 向いている | 向いていない |
| 思考 | 仮説志向 | 正解志向 |
| 視点 | ユーザー中心 | 技術中心 |
| 成果 | 中長期 | 短期 |
4-2. 情シスに向いている人・向いていない人
向いている人
- 安定稼働や改善をコツコツ進めるのが得意
- 社内の業務効率化に関心がある
- 長期的に環境を整える役割にやりがいを感じる
向いていない可能性がある人
- 変化の激しい環境で刺激を求めたい
- 新規開発や最先端技術に常に触れたい
図表:情シス適性チェック
| 観点 | 向いている | 向いていない |
| 業務 | 安定運用 | 変化志向 |
| スタンス | 改善型 | 攻め型 |
| 成果 | 継続的 | 短期的 |
4-3. プリセールスに向いている人・向いていない人
向いている人
- 技術をわかりやすく伝えるのが得意
- 顧客折衝や提案にやりがいを感じる
- フロントで価値を伝えたい
向いていない可能性がある人
- 営業色の強い役割が苦手
- 数値目標にプレッシャーを感じやすい
図表:プリセールス適性チェック
| 観点 | 向いている | 向いていない |
| 対人 | 提案が好き | 対面が負担 |
| 役割 | フロント志向 | 内部志向 |
| 成果 | 提案成功 | 実装重視 |
4-4. 役割別に見たキャリアの広がり方
キャリアの広がり
- PM:プログラムマネージャー、事業責任者
- PdM:プロダクト責任者、事業企画
- 情シス:IT企画責任者、DX推進
- プリセールス:営業企画、事業開発
第5章|後悔しない転職先選びのための判断軸と準備
最後に、転職後のミスマッチを減らし、納得感のある選択につなげるための考え方と準備を整理します。
5-1. キャリアの棚卸しと志向の言語化
棚卸しの観点
- 楽しかった業務
- 苦にならなかった役割
- ストレスが大きかった業務
図表:自己整理シート
| 観点 | 記入例 |
| 楽しかった業務 | 要件整理 |
| 苦でない役割 | 調整 |
| 避けたい業務 | 深夜対応 |
5-2. 面談・選考で確認すべきポイント
確認ポイント
- 入社後の具体的な役割
- 評価基準と期待値
- 実際のプロジェクト事例
5-3. 入社後のギャップを防ぐための視点
ギャップ防止の工夫
- 1日の業務イメージを聞く
- 成功・失敗事例の両方を聞く
- チーム構成を確認する
図表:ギャップが生まれやすい観点
| 観点 | ギャップ例 |
| 役割 | 思ったより調整中心 |
| 裁量 | 承認フローが多い |
| 文化 | フィードバックが少ない |
5-4. 一人で抱え込まない転職の進め方
転職の意思決定は、一人で考えるほど視野が狭くなります。第三者の視点を取り入れることで、思い込みに気づきやすくなります。
相談のメリット
- 思考の整理
- 客観的なフィードバック
- 現実的な選択肢の把握
ITコンサルからの転職は、選択肢が広い分、迷いも生まれやすくなります。
重要なのは、「できるか」ではなく「向いているか」という視点で役割を選ぶことです。
自分の志向と強みを整理し、納得感のある選択を積み重ねていきましょう。
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